海外での急逝。
悲しみのなかで最初に行わなければならないのが「日本への帰国」の手配です。
しかし、成田空港に到着してからの手続きや、海外特有の「国際空輸棺」の扱いに戸惑うご遺族は少なくありません。
本記事では、海外葬儀社との連携から成田空港での輸入通関、そして当社の安置室で行うボディーチェックと日本製の棺への納棺・搬送まで、その細部を徹底的に解説します。
1. 搬送の起点:海外葬儀社とのテクニカルな情報連携
海外で亡くなった場合、現地の葬儀社が「送り出し」を担当します。
当社は成田空港での「受け取り」担当として、現地の業者と以下の情報を密にやり取りします。
① エンバーミングレポート(防腐処置明細)の確認
海外(特に欧米や東南アジア)では、空輸前にエンバーミング(防腐処置)が義務付けられています。
- 確認事項: どのような薬剤が使用されたか、切開部位はどこか、腹水の除去は行われたか。
- 重要性: この情報がないと、日本到着後に「どの程度冷却が必要か」「お化粧直しでどの化粧品が馴染むか」の判断ができません。
② 航空貨物運送状(AWB)とフライトスケジュール
ご遺体は旅客機の貨物室に「航空貨物」として搭載されます。
- AWB番号: これがなければ成田空港の貨物ターミナルで荷物を特定できません。
- フライト: 直行便か経由便か。経由地での温度管理のリスクも想定します。
2. 成田空港貨物地区での「輸入通関」と引き取り実務
成田空港に到着したご遺体は、一般客が通る「ターミナル」ではなく、厳重なセキュリティに守られた「貨物地区(南部・北部貨物地区)」へ運ばれます。
必要な持参書類
- 死亡診断書(死体証明書)の原本(現地の葬儀社が準備)
- 防腐処置証明書(現地の葬儀社が準備)
- パスポート原本(または写し)
税関(Customs)への輸入申告
ご遺体は法律上「輸入貨物」として扱われます。
税関にて輸入申告を行い、内容物の確認(書類審査が主ですが、稀にX線検査等が行われる場合もあります)を経て、「輸入許可」を得ます。
許可が下りて初めて、貨物上屋(ウェアハウス)からフォークリフトで慎重にご遺体が搬出されます。
3. 当社安置室への搬送と「国際空輸棺」の開封
成田空港から当社の専用安置室へ搬送後、すぐに行うのが「開封(アンパッキング)」です。
① 国際空輸棺(トランスファーケース)の解体
海外からの棺は、多くの場合、以下の三重構造になっています。
- 外装: 頑丈な木箱、または厚手の段ボール。
- 内装: 「ジンクライナー」と呼ばれる金属製(亜鉛や鉛)の密閉ケース。
- 内棺: 木製の簡易的な棺。
これらは海外の航空輸送基準(気密性・強度)に基づいたもので、ボルトやハンダ付けで厳重に密閉されています。
当社スタッフが特殊な工具を用いて、ご遺体に振動を与えないよう慎重に解体・開封します。
② 徹底的なボディーチェック
開封直後、専門の納棺師(エンバーマー)が以下の項目をチェックします。
- 衛生状態: エンバーミングの持続性、体液の漏洩、カビの発生、異臭の有無。
- 損傷確認: 航空機の離着陸時の振動によるお顔のズレや、皮膚の乾燥(ドライアップ)。
- 着衣の乱れ: 海外では衣装がラフな場合も多いため、ご遺族の希望に沿っているか確認。
4. 日本式の美意識へ:日本製棺への移し替えと納棺
海外の棺は非常にサイズが大きく(横幅が広い)、日本の火葬場の炉に入りません。 そのため、日本製の棺への移し替えは物理的にも必須の工程です。
① お体の再清拭とお色直し
海外のエンバーミングは「防腐」が主目的であり、日本人が求める「安らかな表情(お顔づくり)」とは感性が異なる場合があります。
- メイクの修正: どぎつい化粧を落とし、日本独自の死生観に基づいた「安らかな眠りの顔」へ整えます。
- お召し替え: 当社が用意した浴衣へお着せ替えいたします。
② 日本製の棺(標準サイズ)への納棺
故人様を、日本規格のお棺へ納めます。
この瞬間、ご遺族は初めて「ようやく日本へ、我が家へ帰ってきた」という実感を抱かれます。
5. 国内最終目的地への二次搬送
納棺を終えた後、目的地(盛岡、名古屋、大阪、福岡など全国各地)まで安全に搬送します。
- 長距離陸送: 目的地まで専門のドライバーがご搬送いたします。
- 国内線空輸: さらに遠方の場合は、羽田空港等へ移動し、国内線での空輸を再度手配します。
6. まとめ:国際搬送における当社の付加価値
海外からの帰国は、単なる「輸送」ではありません。
- 言語の壁: 海外葬儀社との英語での直接交渉。
- 法律の壁: 検疫、税関、役所手続きの完全代行。
- 技術の壁: 海外製の密閉棺の解体と、ご納棺技術。
これらすべてを一貫して行うことで、ご遺族の精神的・事務的負担を最小限に抑えます。
ご遺族様への次なるご提案
海外からの帰国には、「いつ、どのフライトで到着するか」がすべての起点となります。
- 現在の進行状況確認: 現地でエンバーミングは済みましたか?いつ頃のフライトになりますか?
- 成田空港到着後のプラン:最終的にどこへ搬送しご安置しますか?
まずは、現在お手元にある英文書類をスマホ等で撮影し、当社までお送りください。即座に翻訳・精査し、成田空港での受け取り準備を開始いたします。

