「東京で亡くなった故人を、故郷の徳之島へ連れて帰りたい」 徳之島へのご遺体搬送は、日本の離島搬送の中でも非常に難易度が高いルートの一つです。
直行便がないため、鹿児島空港での乗り継ぎが必須となり、航空機の機材制限やJAL独自のルールを熟知していなければ、スムーズな帰郷は叶いません。

本記事では、羽田空港から徳之島空港への搬送における「乗り継ぎの壁」や「ドライアイス制限」といった実務的な注意点を、専門業者の視点で詳しく解説します。

1. 徳之島搬送の基本ルート:JAL鹿児島乗り継ぎ

羽田から徳之島へ向かう場合、「羽田 ✈ 鹿児島 ✈ 徳之島」というJAL便のリレー形式をとります。

  1. 羽田〜鹿児島
    大型・中型のジェット機が運航しており、予約やスペースの確保は比較的スムーズです。
  2. 鹿児島〜徳之島
    離島路線のプロペラ機(ATR機など)となり、貨物スペースが極めて限定されます。
【注意】機材の小型化による制限

徳之島便は機体が小さいため、棺のサイズや重量に厳格な制限があります。
時期によっては一般貨物が優先され、希望のフライト予約が取れないケースもあるため、ご家族の希望と航空会社の空き状況を照らし合わせた緻密な調整が不可欠です。
通常は、スケジュールの都合上「鹿児島発の最終便」を利用する流れが一般的です。

2. 最大の障壁「ドライアイス使用不可」のルール

徳之島搬送における実務上の最大の懸念点は、「鹿児島から徳之島への小型機内では、ドライアイスの使用が原則禁止されている」という点です。

なぜドライアイスが使えないのか?

ドライアイスは気化すると二酸化炭素(ガス)になります。
機体が小さいプロペラ機などの場合、貨物室の換気能力や安全上の規定により、ドライアイスの持ち込みに厳しい制限がかかるのです。

現場での特殊対応

  1. 羽田空港の搭乗手続き直前まで、ドライアイスで強力に遺体を冷却します。
  2. しかし、貨物コンテナに載せる直前で、すべてのドライアイスを取り除く必要があります。
  3. つまり、空輸中の数時間は「冷却なし」の状態となります。

3. 夏場や状態が不安な場合の「フェリー代替ルート」

ドライアイスが取り除かれる空輸は、特に夏場や、亡くなられてから日数が経過しているご遺体にとっては非常に厳しい条件となります。
その場合、無理に空輸を選ばず「フェリー搬送」に切り替えるのが最適です。

フェリー搬送の流れ

  • 空輸+海路
    羽田から鹿児島(または沖縄)まで空輸し、そこから徳之島行きのフェリーに載せ替えます。
メリット

フェリーはドライアイスの使用制限がありません。ご遺体の状態を安定させたまま、安全に島へお連れできます。

デメリット

鹿児島から徳之島まで約15時間以上の航海となるため、到着までに大幅な時間がかかります。

4. 徳之島搬送を成功させるための「3つの解決策」

難易度の高いルートを確実に完遂するため、当社では以下の提案を行っております。

  1. エンバーミング(遺体衛生保全)の実施
    防腐処置を施すことで、ドライアイスなしでの数時間の移動も安全に行えます。「早く帰りたい(空輸)」と「きれいに帰したい(保冷)」の両立が可能です。
  2. フライトスケジュールの逆算
    徳之島着の最終便から逆算し、羽田での手続き時間を細かく調整します。
  3. 現地業者との密な連携
    徳之島空港(または港)に到着した際、現地の業者がスムーズに受け取れるよう、書類と情報のバトンタッチを徹底します。

まとめ|離島搬送は「経験」で決まります。

徳之島への搬送は、気象条件、機材の空き状況、保冷制限など、変動要素が多い難しい搬送です。
私たちは、JALとの直接交渉や、不測の事態(欠航など)に備えた代替案の提示を含め、ご家族が安心して故人を島へ迎えられるよう全力を尽くします。