こんにちは、佐伯です。
寒さが本格的になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は、「長距離搬送」について、その舞台裏を少し詳しくお話ししようと思います。

「想い」を預かる故郷への出発

長距離搬送のご依頼は、ご家族の「住み慣れた故郷で送ってあげたい」「家族が待つ家へ帰したい」という切実な願いから始まります。

まずは病院へお迎えにあがり、ご家族へご挨拶と重要書類の確認を行います。
次に到着時間のご希望を伺い、故人様を一度当社の安置室へお連れします。ここで、長時間の移動に耐えられるよう、ドライアイスの処置や納棺を丁寧に行います。

「1時間の余裕」がプロの品質を決める

出発時間を決めるのは、実は緻密な計算に基づいています。 例えば、大阪への到着指定が17時の場合、私は10時頃には出発のエンジンをかけます。

Googleマップなどで調べればもっと早く着く計算になりますが、渋滞ポイント通過時の時間や休憩時間を考慮し私は必ず「+1時間」の余裕を持たせます。なぜなら、何があっても「遅刻」は許されないからです。この1時間の心の余裕が、急がず、焦らず、故人様に優しい運転を続ける秘訣なんです。

基本は「新東名」ルート

西へ向かう場合のルートは「新東名高速 → 伊勢湾岸道 → 新名神」という黄金ルート。

「景色がいいから」このルートではありません(笑)。
新東名は基本3車線で道幅が広く、カーブが緩やか。一方、古い東名高速は2車線でカーブが多く、どうしても加減速やハンドル操作が増えてしまいます。
故人様をお連れしている間は、まるでコップに並々と注がれた水を一滴もこぼさないような、「揺れの少ない走行」を心がけているため、新東名の安定感は欠かせないのです。

休憩中の「孤独な点検」と食事を摂らない理由

大阪までの道中、休憩は合計3回と決めています。 岡崎SAや草津SAでそれぞれ30分、その他のPAで15分を1回。

実は、私は大阪位の距離の場合搬送中に「食事」を一切摂りません。
理由は、満腹による眠気や集中力の低下を防ぐため。そして、万が一にもお腹を下すようなことがあってはならないからです。その代わり、エコノミー症候群対策として飲み物だけは複数本用意し、常に万全の体調をキープします。

そして、休憩のたびに行うのが「ご遺体のチェック」です。

  • 臭気が漏れていないか
  • お体に変化(体液漏れなど)はないか
  • ドライアイスの配置がずれていないか

出発前に完璧に処置していても、温度変化や振動の影響がないか、何度も自分の目で確認します。この「しつこいほどの確認」こそが、私の誇りです。いやいや、ただの心配性なんです(笑)

無事に到着し、次のプロへバトンを繋ぐ

道順や渋滞ポイントは長年の経験で頭に入っているので、ナビは渋滞の確認程度に。
到着の1時間前、現地の葬儀社様とご家族に「予定通り到着します」と連絡を行い受け入れ準備を整えてもらいます。

現地の会館に到着すると、葬儀社さんの案内でお部屋にご安置。
ご家族がご面会しお線香をあげ、「遠くまでありがとうございました」と涙ぐまれる姿を見て、ようやく私の肩の荷が下ります。
ご遺体状況を現地のスタッフに細かく引き継ぎ、全ての書類を返却して、私のお仕事はこれで完了となります。

最後に待っている、ホテル探しの「ご褒美」

夕方着ならそのまま東京へトンボ帰りですが、20時着などの夜になる場合は現地で一泊します。
仕事が終わって解放感に包まれながら、スマホで「今日の宿」を探すのは、密かな楽しみです。意外と直前でも良いホテルが見つかるもので、大阪の夜を少しだけ満喫してから眠りにつきます。
たま~に見つからない場合もあったり、その場合は帰ります・・・

長距離搬送は、単なる移動ではありません。
故人様を安全にそして敬意を持って帰郷すること。 これからも、その責任を噛み締めながらハンドルを握り続けたいと思います。