皆さま、こんにちは。 私は長距離搬送の仕事を始めて10年以上が経ち、これまで日本全国の津々浦々、さまざまな場所へ走らせていただきました。

今回はその中でも、今でも鮮明に思い出せる「特に印象深かった、忘れられないご搬送」のお話をしてみようと思います。

詳しい場所は伏せますが、目的地はある地域のかなり深い山奥。
高速道路を降りてから、さらに山道を走ること約2時間という道のりでした。

街灯もない真っ暗な湖畔、ナビが指す「車1台分」の林道へ…

時刻は深夜0時。 基本はナビの指示通りに走るのですが、高速を降りた直後はあった街並みも、進むにつれてどんどん家やお店がなくなっていきます。

しばらく走ると大きな湖の脇を通るのですが、辺りは文字通り「漆黒の闇」。
そこからナビが指示したのは、すれ違いもできないような車1台分がやっとの細い「林道」でした。

「……えっ、本当にこの道で合ってるの??」

あまりの暗さと心細さに不安になり、一旦車を停めてナビと周辺の地図を再確認。
ですが、どう見てもこの脇道を進むしか目的地へ行くルートはありません。
覚悟を決めて、意を決してその狭い林道へと足を踏み入れました。

道路一面が光る…? 視線が恐怖

林道に入ると、両脇には田んぼが広がっていました。
そのタイミングで雨がパラパラと降り出し、周りからは「ゲコゲコゲコ…!」とすごい数のカエルの大歓声が聞こえてきます。

すると、寝台車のヘッドライトが照らす道路の先に、何かがビッシリと光って見えました。

「ん??? なんだあれ……?」

徐行しながら恐る恐る近づき、ライトの先をよく確認してみると……

なんと、道路一面を埋め尽くす大量の小カエルたち!!(汗)

小さなカエルたちが一斉にこちら(車)をじーっと見つめているんです。
……正直、その無数の視線がめちゃくちゃ怖い!!(笑)
到底避けて通れるような数ではなく、「本当にゴメンナサイ…!」と心の中で謝りながらゆっくり進むしかありませんでした。

カエル地帯を何とか通り抜けると、次は片側が切り立った崖の道。
しかも、気づけばスマホの画面には「圏外」の文字。
携帯の電波すら届かない場所です。

「ここでパンクしたり故障したりしたら、本気でヤバい……」

心臓はバクバク、冷や汗ものです。
「きっと昼間に来たら、すごく綺麗な景色なんだろうなぁ…」なんて現実逃避をしつつ、とにかく慎重にハンドルを握りしめました。

深夜2時の安心感と、帰り道のちょっと不気味な道の駅

緊張に耐えながら走り続けること約2時間。
深夜2時ごろ、ようやくパッと視界が開けて小さな村が現れました。

こんな真夜中にもかかわらず、ご自宅の前にはご家族やご親戚の皆さまがたくさん集まって、故人様の到着を待っていてくださったのです。
その温かい光景を見た瞬間、緊張の糸がほぐれて猛烈な安心感が押し寄せてきたのを今でもはっきりと覚えています。

無事にご自宅へご安置を終え、ほっと一安心……と言いたいところですが、復路もまたあの恐怖の山道を戻らなければなりません。

極度の緊張と疲れ、そして我慢していたトイレを済ませるため、行きで見かけた「道の駅」のような場所に立ち寄ったのですが、深夜の静まり返ったその場所がこれまた雰囲気がありすぎてめちゃくちゃ怖かった……!(汗)

必死で車を走らせ、例のカエル地帯を抜ける頃には、うっすらと東の空が明けてきました。
ようやく高速道路のインターチェンジ近くの街並みが見えたときの安堵感といったらありません。
ドッと押し寄せてきた猛烈な眠気と疲労感に耐えきれず、最初のサービスエリアに滑り込んでそのまま爆睡してしまいました(笑)。

今となってはとても懐かしく、プロとしてひとつ成長させてもらった大切な思い出です。
どんなに深い山奥でも、どんなに大変な道のりでも、故人様をご家族のもとへ安全にお送りするのが私たちの使命です。

今日も全国のどこかで、安全第一でハンドルを握っています!