「最長でどこまで行くんですか?」

このお仕事をしていると、よく聞かれる質問があります。
一つは「不思議な体験はありますか?」、そしてもう一つが「今までで一番遠かったのはどこですか?」というものです。

不思議体験についてはまたの機会にじっくりお話しするとして(笑)、今日は「最長距離」の記録についてお話ししようと思います。

北はマグロで有名な本州最北端・大間。南は宮崎県の延岡熊本
これらは私たちの中でも「超・超長距離」と呼ばれる特別な部類に入ります。

🚚 神奈川から宮崎へ。1200kmの夜間飛行

今回は、宮崎県延岡市までお送りした際のエピソードをご紹介します。
距離にして約1,200km。所要時間は約16時間という壮大な行程です。

出発前日にご家族と綿密に打ち合わせを行い、到着時刻を逆算して、神奈川県大和市を夕方の17時に出発しました。目指すは、とにかく西へ!ひたすら西へ!です。

長年走っているとルートは頭に入っているので、ナビは到着時刻の確認用。残りの距離数を見てしまうと気が遠くなるので、あえて見ないのが私なりのコツです。

🌙 深夜のハイウェイ、自分との戦い

名古屋まではあっという間ですが、ここからが本番。新東名を抜け、滋賀の草津、兵庫の宝塚と進みます。ちなみに宝塚SAはトイレが非常に豪華で、ぜひ立ち寄っていただきたいおすすめスポットです。

深夜2時〜4時。山陰道に入ると、東名とは打って変わって他車の姿が消えます。
トラックすら走っていない、自分たちの一台きりの世界。
サブドライバーも休息に入り、オートクルーズ機能を使いながら一定のスピードで静寂の中を進みます。

私はこの山陰道を3つの区間に分けて攻略しています。

  • 第1クール: 姫路〜倉敷
  • 第2クール: 倉敷〜尾道
  • 第3クール: 尾道〜関門橋

一番の踏ん張りどころは、午前5時〜6時頃に差し掛かる広島付近。
走行距離は800kmを超え、疲れがピークに達します。ここで30〜40分、車外での運動と「10分間の仮眠」をとるのが鉄則です。

実は、仮眠は10分がベスト。
それ以上寝てしまうと体が重くなり、かえって疲れが増してしまうんです。
この「10分の休息」が、残りの400kmを走り抜く活力になります。

🌊 関門橋を越え、霧の別府から約束の地へ

朝7時、関門橋を渡り九州へ。
車内で軽く朝食をとり、大分へ向かいます。
別府付近は濃霧の名所。以前、別の搬送で濃霧による事故を目撃したことがあるので、ここは特に神経を集中させて進みます。

大分を過ぎ、佐伯市(さえきし)に入れば、あともう一息!
「着いたも同然」という気持ちになりますが、ここで気を緩めないのがプロ。
最後まで安全運転を貫き、予定よりわずか10分早いという、ほぼ完璧なタイミングで延岡に到着しました。

✨ 16時間の果てにある達成感

無事にご家族のもとへ送り届けた瞬間の達成感は、何物にも代えられません。
長距離であればあるほど、その重みは増します。

さすがにそのままとんぼ返りはできませんので、その日は大分市内で一泊。
翌日、サブドライバーとのんびり、走ってきた道を振り返りながら神奈川への帰路につきました。

「遠く離れた故郷へ帰してあげたい」 そんなご家族の想いがある限り、私たちはどこまででも、安全に、大切に、故人様をご搬送いたします。