🚨 高速道路の「プロ」が見分けるもの

長距離の遺体搬送をお引き受けしていると、一年の大半を高速道路の上で過ごすことになります。

このお仕事を始めたばかりの頃はよく分からなかったのですが、数ヶ月もすると自然と身につく「特技」があります。
それが、覆面パトカーの瞬時の見分け方です(笑)。

もちろん、私たちは故人様を大切にお乗せし、常に法定速度を守って「安全第一」で走行しているので、見つけたからといって慌てる必要はまったくありません。
でも、周囲の車の動きを見守るのも、プロのドライバーの大切な仕事の一つなんです。

🚚 「まさか、あの車を煽るなんて…!」

これは、かなり前にある高速道路を走っていたときのお話です。

私は左側の走行車線を、いつも通り法定速度内でゆったりと走っていました。
すると右側の追い越し車線を、一台の覆面パトカーがこれまた静かに走っています。すれ違いざまに警察官の方がチラチラとこちらを見ていましたが、私たちはご遺体を乗せた安全運転の車。当然、何事もなくスルーです。

「今日も安全運転で行こう」と右のサイドミラーに目をやった、その時でした。

後ろから、若いお兄ちゃん3人が乗ったトラックが、ものすごい勢いで追い越し車線を走ってきたのです。
そして、その目の前を走っているのは、先ほどの覆面パトカー。

私は心の中で「さすがに気づくよね……?」と思っていたのですが、なんとそのトラック、あろうことか目の前の覆面パトカーを煽り始めたのです!

車間距離をピタッと詰めて、右へ左へとプレッシャーをかけています。
「わわわ、マジか!この若者たち、強気すぎる……!」というか、完全に覆面パトカーだと気づいていない様子です。

🚨 3秒後の「ウぅ〜ウぅ〜」

巻き込まれては大変と、私が少し速度を緩めて見守っていると、覆面パトカーは静かに左へ車線変更し、トラックに道を譲りました。

トラックの若者たちは「どいたどいた!」と言わんばかりに、全く気づかないまま勢いよく抜いていき、さらにグングン加速していきます。

――その瞬間、覆面パトカーがすかさずトラックの後方へピタリ。 スピードの計測に入ります。

ものの3〜5秒ほどだったでしょうか。
高速道路に「ウぅ〜〜〜〜ン、ウぅ〜〜〜〜ン」とサイレンが響き渡り、パカッと現れた赤色灯が回りました。

「前のトラック、パトカーに続きなさい」

はい、見事な一発捕獲です……。
私は心の中で「あぁ、やっぱりね…… そりゃそうだ…」と呟きながら、捕まったトラックの横を法定速度で静かに通り過ぎていきました。

🍃 のんびり走るのが、一番心地いい

そんな一部始終を思い返しながら、「スピードを出したくなるのは、やっぱり若気の至りなのかなぁ」なんて、自分の若い頃をふと思い出したりしました。

「いやいや、自分は若い頃からゆっくり走ってたはず!」と思いたいところですが、どうだったでしょうか(笑)。

確かなのは、今の私はプライベートも含めて、スピードを出すことには全く興味がないということです。
景色を眺めながら、周囲の流れに合わせてのんびりとハンドルを握る。
それが一番気分がいいですし、何より同乗者も、そしてお預かりしている故人様も安心です。

皆さまも高速道路を走る際は、どうか心にゆとりを持って、安全運転でお出かけくださいね。